入居希望者への情報提供がトラブルを防ぐ

●入居希望者へ情報提供する際の注意点
入居を募集する際には、建物の間取り、風通し、日当たり、エアコンなどの設備の有無、最寄り駅までの交通機関と所要時間、近隣の病院・学校などの施設、家賃、敷金その他の条件などの情報を提供しなければなりません。最近ではインターネット回線の有無(光ファイバー、CATVなど)や衛星放送、通信放送などのアンテナの設置状況などについても情報を提供する必要があるでしょう。その際の情報は正確に誤りのないものにします。虚偽の情報が提供されていたり、基本的な情報が提供されていない場合には、のちのち聞いていなかった、聞いていたことと違うということでトラブル発生の原因になります。
台風のときには浸水する場合があるといった貸主に不利なものでも、これを隠して情報提供をしていなかったり、虚偽の情報を提供していると、後日、トラブルになるばかりか、契約解除の原因となったり、損害賠償請求を受けるおそれもありますので注意が必要です。

●契約条項も事前提供する
入居希望者があったときには、賃貸物件の情報だけではなく、契約がどのようになっているかを仲介業者または貸主から契約書にもとづいて説明するようにします。
できれば事前に契約書の雛形を作成し、仲介業者に預けておくなどして、入居希望者が出てきた場合にはいつでも見せられるようにしておきたいものです。
そのためには、募集を始める前に、仲介業者と話し合うなどして、どのような契約書にするかを決めておくことが必要になります。このようにすることによって、貸主自身も契約内容を十分に理解できるようになります。契約の直前になってから契約の内容を説明すると、借主の考えと異なっていたり、借主の希望があるようなときには対応が困難となって、契約が不可能になるおそれがあります。また借主が契約を十分に理解していないために後日トラブルになるおそれもあります。
事前に契約書を作成し、入居希望者に見せて説明をすることによって、このような契約をめぐるトラブルを防止できるのです。

【入居申込書と添付書類を整理する】

●入居申込害の書き方
入居希望者が物件を気に入り賃借したいという場合には、入居申込書を書いてもらい、提出してもらうのが一般的です。入居申込書だけでは契約は成立しません。この申込書が出されて貸主がその内容をチェックし、入居希望者に貸すことを決めてから、契約書を取り交わすことによって契約が成立します。
入居申込書の記載事項としては、借主となる人と連帯保証人予定者の氏名(ふりがな)、住
所、生年月日、電話(携帯電話)、勤務先と入居予定者の氏名、生年月日、勤務先(学校)な
どが考えられます。未成年者の場合には、両親の氏名、住所、生年月日、連絡先、勤務先も
記載してもらうようにします。本籍地の記載については、出身による差別につながりかねないということから求めないようになっていますので、仲介業者を含め注意しましょう。
また、入居希望者が会社などの場合には、会社の名前、住所、設立年、電話番号、代表取
締役の氏名・住所・生年月日、また担当者の氏名、連絡先も記載してもらうようにします。

●申込書の添付書類
・個人の場合の添付書類(すべて借主と連帯保証人予定者の両者のもの)。
①住民票
②源泉徴収票または納税証明書
③会社発行の勤務先証明書または身分証明
書(学生の場合には学生証)のコピー
④運転免許証かパスポート、または住民基本台帳カードなど官公署が発行した顔写真付きの証明書のコピーなど

・会社など法人の場合の添付書類
①会社の登記事項証明書
②確定申告書(できれば複数年分)
③代表取締役および連帯保証人予定者の住民票
④代表取締役および連帯保証人予定者の源泉徴収票または納税証明書
⑤代表取締役および連帯保証人予定者の運転免許証かパスポート、または住民基本台帳カードなど官公署が発行した顔写真付きの証明書のコピーなど

契約時にはそれぞれの実印を契約書に押印してもらうことになるので、印鑑証明書を用意してもらうようにします。

【適切な管理のために整理しておく資料】

●建築関係の資料の保管
適切に建物の維持管理をするために、また、やむを得ず裁判を起こすときには、必ず建築関係の資料が必要になりますので、次の資料を整理し、一括して保管をしておくことをおすすめします。

①設計管理契約書
②建築請負契約書
③見積書
④変更工事・追加工事に関する資料一式
⑤建築確認許可書
⑥設計図書類
⑦建物図面一式(給排水設備・電気設備等・各フロアー別の平面図・製本化された図面のほかに別にもらっておく)
⑧下請業者一覧表(施工業者に頼んで下請業者を教えてもらう)
⑨防水工事等各種設備等の保証書
⑩建築主事からの検査済証
⑪消防署に対する使用開始届コピー(改善報告書コピー)
⑫建築竣工後の(イ)維持管理の記録、(ロ)各種設備等更新工事の記録

●入居者関係の資料の保管
入居者関係の資料を整理して一括して保管しておきましょう。部屋番号順に入居者ごとに整理し、ファイリングしておきます。

・整理保管すべき資料
①入居申込書
②契約書
③保証金敷金の預り証のコピー
④印鑑証明書
⑤住民票
⑥運転免許証等のコピー
⑦在職証明書・名刺
⑧勤務先の商業登記全部事項証明書
⑨収入証明書または源泉徴収票・納税証明書
⑩駐車場付きの場合は車検証のコピー
⑪更新したときは更新に関する契約書等(古い契約書は捨てずに保管のこと)
⑫入居者の入居後の変動(たとえば勤務先の変更)に関する資料
⑬その他

●入居者管理帳の整備

・部屋番号順に、入居者ごとに以下の重要事項を記載する管理帳を整備
①賃借人・保証人の住所・氏名・連絡先
②期間(いつ更新となるかわかるように)
③賃料等金額など